電源について

使用上の注意点

(1)入力電圧

a. 地域による電圧の差

交流入力は、使用する地域によって電圧・周波数・相数が異なりますので、必ず事前にご確認ください。
規定値以外の電圧を印加した場合、電源が破損する恐れがあります。
また、入力電圧に大きな波形歪みがあると、正常に動作しない場合や、たとえ動作しても寿命が大幅に短くなる可能性がありますのでご注意ください。

(1)入力電圧

b. 矩形波の印加

正弦波交流は実効値で、矩形波は波高値で表現されます。
スイッチング電源は、入力電圧を整流・平滑して波高値に近い直流電圧を生成し、これを用いてインバータを動作させます。
そのため、矩形波を入力する場合は、入力電圧仕様値の 1.4倍 の電圧を加える必要があります。
波高値表示のまま規定電圧を印加すると、正常に動作しなかったり、たとえ動作しても寿命を大幅に縮める恐れがあります。
ご使用にあたりご不明な点がありましたら、事前にお問い合わせください。

c. ラインフィルターやチョークコイルの影響

入力側に高インダクタンスのラインフィルタやチョークコイルなどが設置されている場合、入力のスイッチング時にインダクタンスによる逆起電力が発生し、入力端子に過大な電圧が印加される可能性があります。 このような状況は、電源を損傷したり、過度のストレスを与えて寿命を縮める可能性がありますので、適切な対策を講じてください。

d. 進相コンデンサの影響

三相交流では電流の位相遅れを補正するために進相コンデンサを使用しますが、入力スイッチの下流側に進相コンデンサを配置している場合、注意が必要です。
スイッチをOFFにした際、コンデンサに蓄積された電圧が残留し、次にスイッチをONした際にその電圧が入力電圧に重畳することで、過大な電圧が発生する場合があります。
このような状態になると電源装置を破壊する恐れがありますので、入力スイッチの後段に進相コンデンサを設置することは絶対に避けてください。

(2)入力相数

a. 単相3線式

一般に単相の場合は2線式で、その両端に所定の電圧が発生しますが、単相3線式の場合両端が200Vでそれぞれ片側が100Vになります。
この場合中線が断線すると、2台の電源が直列になり、片方に過大な電圧がかかることがあり、電源を破壊しますので注意が必要です。

(2)入力相数

(3)入力自動切り替え方式電源

入力自動切り替え(100V/200V)方式の電源は、入力電圧の波高値を検出して 100V か 200V かを判別しています。
そのため、矩形波や直流の入力を加えることは絶対に避けてください。

(4)入力電力

高調波電流規制に対応していない電源は、入力部にコンデンサインプット方式の整流・平滑回路を備えています。
そのため、電源の入力側には歪んだ電流波形が流れ込み、力率は一般的に 0.5~0.7 程度になります。
電源に流れ込む電流は下式のようになりますので、配電盤の容量を検討する際や、特に前段にトランスを設置する場合には注意が必要です。

(5)ヒューズの選定

電源には安全のため、入力側にヒューズが必要です。ヒューズには、内蔵タイプと外付けタイプの 2 種類があります。

a. ヒューズ内蔵タイプ

外付けヒューズを追加する必要はありません。
なお、内蔵ヒューズが溶断した場合は、多くの場合で電源本体に故障が発生しており、ヒューズを交換しても電源は復帰しません。

b. ヒューズ外付けタイプ

外付けのヒューズを正しく接続する必要があります。
ヒューズは突入電流で溶断しないこと、また取得している安全規格の要求を満たすことが必要です。
選定方法については、取扱説明書およびアプリケーションマニュアルをご参照ください。

(6)スイッチの選定

スイッチを選定する際には、投入容量と通電容量を確認する必要があります。

a. 投入容量について

電源を投入すると、突入電流が流れます。
そのため、スイッチにはこの突入電流に耐えられる十分な投入容量が必要です。
許容量を超えると、接点が溶着し、スイッチが常に ON の状態になる恐れがあります。
スイッチには、投入容量そのものが規定されているタイプと、通電容量に対して何倍まで許容するかが規定されているタイプがあります。

b. 通電容量について

通電容量は、電源投入後に連続して流れる電流に耐えるための容量です。
定格運転時の電流に問題なく対応できるものを選定する必要があります。

(7)雷サージ対策

入力ラインにはさまざまなサージ電圧が発生しますが、その中でも特に大きなエネルギーを持ち、電子機器の故障原因として最も重要なのが雷サージです。
フィールドで発生する電源系の故障の多くは雷サージによるものであり、適切な対策は必須となります。
雷サージは主に次の3種類に分類されます。

直(撃)雷 電線や設備に直接雷が落ちる現象です。
落雷のエネルギーは非常に大きいため、電子機器単体での対策はほぼ不可能です。このため、建物や設備には外部の避雷設備(避雷針、雷保護システム)を設けて雷電流を安全に大地へ導く必要があります。
誘(導)雷 送電線や配線の近くに落雷したときに発生するサージです。サージ電圧は次のような原因で誘導されます。
・落雷による電磁界の急激な変化による電磁誘導
・雷の先行放電による静電誘導
・雷雲の電荷と送電線上の電荷のバランスが崩れることで伝搬する電荷バランス変動によるサージ
これらは電子機器にもっとも一般的に影響する雷サージで、対策が特に重要です。
逆フラッシュオーバ 送電線のアース線や鉄塔に落雷があった場合に発生します。
大地にはインピーダンスがあるため、落雷点周辺の大地電位が急上昇し、その電位が送電線を通じて機器の入力側に伝わります。
これはフィールドで比較的頻繁に発生する雷サージであり、保護デバイスによる対策が特に重要です。
(7)雷サージ対策

雷サージの発生原理から、サージ電圧はライン間よりも ライン-大地間のほうが大きくなりやすい ことが分かっています。

1. ライン間のサージ

 ライン間に発生するサージは比較的小さく、特にスイッチング電源では入力の大容量コンデンサがサージ電流を吸収するため、
 内部回路への影響は小さく抑えられます。

2. ライン-大地間のサージ

 ライン-大地間のサージは規模が大きく、アース付き機器ではサージ電流を大地に逃がす設計になっています。
 ただし雷サージは立ち上がりが非常に速いため、配線のインダクタンスが影響し、アース付き機器でも注意が必要です。

3. アースがない機器の場合

 アースの無い機器では、ラインから入ったサージが浮遊容量を通じて大地に流れます。
 この電流がICなどの弱い部品を通ると故障につながるため、シャーシや金属筐体などでバイパス経路を作り、敏感な部品を
 保護することが重要です。

4. 地域・設置環境による違い

 雷の強さや頻度は地域や地形で大きく変わります。
 設置環境に合わせて、どの程度の雷サージ対策が必要か判断することが大切です。
 特に屋外機器は、電源ケーブルや外部ケーブルも含めて総合的な対策が必要です。

5. 雷サージの対策

 誘導雷や逆フラッシュオーバには、アレスタ(避雷器)やサージアブソーバが有効です。
 また、ラインフィルタも雷サージの急激な立ち上がりを緩和する効果があり、有効な対策の一つです。

各サージアブソーバの特長

a.放電型サージアブソーバ

放電型サージアブソーバは、許容値を超える大きなエネルギーが加わった場合でも安全性が高いという特長があります。
ただし次のような性質があります。
 ・放電開始電圧と放電持続電圧が異なる(いわゆるホールディング特性がある) 
 ・応答速度が遅いため、動作直前に高い電圧が一瞬印加される
そのため、強大なサージに対しては有効ですが、細かな保護には向きません。

b.酸化亜鉛バリスタ、双方向ツエナーダイオード

これらは次のような特長を持ちます。
 ・応答速度が非常に速く、雷サージなどの急峻な過電圧に対しても確実に機器を保護できる
 ・許容以上のエネルギーが加わると、内部がショートモードで破壊し、機器側の損傷を防ぐ構造になっている
したがって、これらは電子機器の二次的な保護にも広く使われています。

(8)最低出力電流の規制

単一出力の電源はすべて0アンペアから出力がとれますが、一部マルチ出力の電源には、メイン出力の電流をある程度流していなければ、サブ出力の電流を100%取り出せないものがあります。
詳細は個別の取り扱い説明をご覧ください。

(9)電源が立上がらない負荷

ランプや定電流負荷を接続した場合、電源の過電流保護が「フの字(垂下特性)型」の場合には、出力が立ち上がらないことがあります。
これは、負荷に電圧が印加されてから規定の動作点に到達するまでの 負荷側のV‑I特性の軌跡 が、電源の 過電流保護の垂下特性線上で安定してしまう ために起こる現象です。
そのため、電源を選定・設計する段階で、ランプや定電流負荷の特性を十分に考慮する必要があります。
多くの場合、逆L字型の過電流保護特性(定電流リミット → 急激に電流遮断するタイプ)を採用することで、この問題は解決できます。

(9)電源が立上がらない負荷

(10)ピーク電流を流す時

a. 数mSecから数+Sec流す場合

過電流保護回路が動作する電流値までは電流を流すことができますが、頻繁に繰り返すと電源の発熱が大きくなり、故障につながる恐れがありますので避けてください。
また、過電流保護回路の動作電流値では電流が不足する場合、マイナーチェンジによってピーク電流に対応できる可能性がありますので、ご相談ください。

b. 数μSecから数mSec流す場合

出力側にコンデンサを追加することで電流を流すことができます。
追加するコンデンサの容量は、次の式を用いて決定してください。

(10)ピーク電流を流す時

コンデンサを使用する際は、許容リップル電流についても必ずご確認ください。
また、外付けコンデンサの容量が大きすぎる場合、起動不良を引き起こす可能性があります。接続可能な最大容量は機種によって異なりますので、詳細はお問い合わせください。
なお、負荷のパルス特性によっては、電源本体から音が発生する場合があります。事前のご確認をお願いいたします。

(11)出力ディレーティング

使用周囲温度や取り付け方法によって、取り出せる電流値は違います。各製品のディレーティング特性で示されている範囲内でご使用ください。
また、電源の故障率を低減したり、寿命を延ばす目的でディレーティングを行う場合は、後述の「信頼性」に関する項目を参照してください。

(12)直列運転

複数の電源を直列に接続する場合、一般的に次の 2 種類の回路構成があります。
a 図の回路構成は問題ありませんが、b 図の回路構成では注意が必要です。
b 図の場合、電源ごとの起動時間や立下がり時間の違いによって、一方の電源の電流が他方の電源側へ流れ込むことがあります。
その結果、電源が正常に立ち上がらない場合があります。

(12)直列運転

直列運転の可否については、各製品の取扱説明書に記載されていますので、必ずご確認のうえご使用ください。ただし、直列運転に対応していない機種であっても、下図のように出力側にダイオードを挿入することで直列運転が可能になる場合があります。
この場合、使用するダイオードは、
 ・順方向電圧が電源内部の整流器より低いこと 
 ・一方の電源の電流を瞬時に流すことができる定格を持つこと
の 2 点を満たすものを選定してください。

(13)並列運転・冗長運転

a. 並列運転(並列運転機能の無い電源の場合)

(13)並列運転・冗長運転

a の場合(電源PS1・PS2を並列接続したケース)
PS1 と PS2 の出力電圧には必ずわずかな差があるため、まず 電圧の高い電源側 からのみ電流が流れるため、その電源で過電流保護回路が動作し、出力電圧が低下します。そのため、次に 電圧の低いもう一方の電源 から電流が流れるようになります。
このとき、
  一方の電源は 過電流状態(Io1)、
  もう一方の電源は Io から Io1 を引いた値(Io2 = Io − Io1)
という電流分担になります。
過電流状態になった電源は発熱やストレスが大きくなるため、故障率の上昇や寿命の低下につながり、望ましくない使い方 です。
ただし、過電流保護の動作電流を定格より低く設定した マイナーチェンジ品で対応できる場合があります。
ご希望の場合は当社までお問い合わせください。

b の場合(出力抵抗による電流バランス)
出力に抵抗を追加することで、2台の電源の出力電流をバランスさせる方法です。
抵抗値は、
  どの程度の電流バランスを取るか
  抵抗の損失電力をどこまで許容できるか
によって決定します。

c の場合(ダイオード特性を利用した電流バランス)
ダイオードの 順方向電圧—電流特性の傾きを利用して、2台の電源の出力電流をバランスさせる方法です。
使用する際は、ダイオードの 耐圧、損失電力、放熱 を十分に考慮してください。

※b および c の接続方法は、電源間の出力電圧差や負荷条件によって、電流バランスが変動する場合があります。

b. 並列運転(並列運転機能の有る電源の場合)

並列運転用のカレントバランス(CB)端子を備えた電源は、出力をそのまま並列接続してご使用いただけます。
この場合、電源内部の並列運転回路が動作し、各電源の出力電流を自動的にバランスさせます。
詳細については、各個別の取扱説明書をご参照ください。

c. 冗長運転

図5.12 cの接続を行い、負荷電流(RL3に流れる電流)を1台の電源の定格電流以下とした場合、冗長運転(1台の電源が故障した場合のバックアップ運転)が可能となります。

(14)リモートセンシング

a. 応答速度

リモートセンシングを使用すると、センシング線のインピーダンスによって、伝達速度が低下し、電源の応答速度が悪くなり、動的負荷変動が大きくなる場合があります。
そのため、電源の設置位置や配線方法を工夫し、可能であればリモートセンシングを使用しない構成で運用することが望ましい です。

b. ノイズの影響

センシング線はインピーダンスが高いので、他の回路や配線の影響を受けないよう、ツイストペア線やシールド線を使用し、大電流回路やノイズを発生する配線から遠ざけてください。

c. 不安定動作

センシング線を長く配線すると、電源が不安定に動作する場合があります。
そのような場合は、センシング点に加えて、+V と +S 間、−V と −S 間にコンデンサを追加してください。
なお、センシング点に使用するコンデンサは 電解コンデンサをご使用ください。
Q の高いフィルムコンデンサやセラミックコンデンサを使用すると、誤動作や不安定動作の原因となることがあります。

(15)リモートコントロール

リモートコントロールは、電源の入力側のメイン配線を接続したまま、外部信号によって電源の出力を ON/OFF させる機能です。
制御方式には、外部電圧の印加、外部スイッチによる制御、通信機能による制御など複数の方法があります。詳細については、各製品の取扱説明書をご確認ください。
リモートコントロール端子の電圧・電流は小さいため、接点で ON/OFF を行う場合は 小信号用接点 をご使用ください。
また、リモートコントロール用配線に負荷電流などが回り込まないよう、配線方法には十分ご注意ください。

※リモートコントロール・オプションに「外部駆動電源が必要」と記載されている製品では、リモートコントロール用の外部電源が必要です。この外部電源の出力を印加することで、電源を ON することができます。

(16)取り付け

a. 筐体に取り付ける場合

筐体本体の強度が十分にある場所へ取り付けてください。
輸送時の振動などにより筐体が弓状にたわみ、電源の取付部に過大な力が加わる場合があります。
また、電源のタップを利用して取り付ける場合は、取付ねじの長さは内部に入り込む長さを確認した上で選定してください。

b. プリント基板に取り付ける場合

端子の強度範囲内でご使用ください。
また、ニッパなどで端子を切断する際に、過大な引張力がかかることがありますので、ご注意ください。

(17)放熱設計

電源は電力変換機器であるため、入力される有効電力と出力電力の差分は、すべて熱として放出されます。
この熱を適切に放散させることが、設計および設置における重要なポイントとなります。

a. 自然空冷の場合

電源を自由空間に設置した場合、放熱は主に対流によって行われ、一部は放射(輻射)によって行われます。
特に対流が放熱の大部分を占めるため、空気が十分に流れるためのスペースを確保してください。
空気には粘性があり、発熱体に直接接触している空気はほとんど動きません。
発熱体から伝わった熱で近傍の空気が暖められ、数ミリ離れた位置から対流が発生します。

筐体内に設置する場合、筐体内部に暖められた空気が滞留しないよう、外気の吸気口(入口)と排気口(出口)を設けてください。
なお、入口より出口を大きめに設計すると、熱の排出効率が向上します。
また、電源の設置方向によっては内部部品の温度が変化し、使用可能温度範囲も影響を受けることがあります。
詳細は各製品の取扱説明書をご確認ください。
強制空冷(ファンなど)を行う場合は、上述の制約は必ずしも適用されません。

密閉筐体に設置する場合、密閉筐体では、筐体を介して内部と外部の熱交換が行われるため、十分な大きさの筐体を使用してください。
内部の熱が局所的にこもらないよう、ファンによる強制対流を導入すると効果的です。
発熱量が大きく、内部温度が過度に上昇する場合には、空調装置の設置をご検討ください。

b. 強制空冷の場合

電源には強制空冷用のファンが内蔵されていますので、基本的には空気の流入部の温度を管理するだけで適切に放熱が行われます。
ただし、吸気口および排気口をふさがないよう十分にご注意ください。

c. 強制通風の場合

外部から送風して冷却を行うタイプの電源です。
本電源の冷却仕様は、供給する空気量(L/min)、または電源の複数ポイントの温度で規定されています。

d. 伝導冷却の場合

電源内部の発熱部品をすべてアルミ基板などの金属板に取り付け、その金属板を介して外部へ熱を放散する構造の電源です。
発熱量と許容温度上昇に応じて、必要な熱抵抗を満たすヒートシンクに取り付け、適切な放熱を行ってください。

(18)配線・接続

a. 据置型(ユニット、基板単体)

入力側から侵入するサージ電圧やノイズが出力側へ混入すること、また負荷や電源から発生したノイズが入力側へ伝搬することを防ぐため、入力配線と出力配線は分離し、別々に結束してください。
また、出力配線は できるだけ太く、短く 配線してください。大電流を扱う場合は、バスバーの使用がより有効です。

b. オンボード、モジュール型

入力配線と出力配線は分離し、配線はできるだけ短くし、ループを形成しないようにアートワークしてください。
また、電源の取り付け部は アースパターン または 安定した電位のパターン に接続することで、ノイズに対する耐性が向上します。

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